バンガロールでスタートアップのインド法人を立ち上げ中な文科系男子のインド日記()

大手損保→人材ベンチャー→実家のあれこれ→日系現地法人→バンガロールで日系スタートアップ法人立ち上げとふらふらしている文科系男子のインド備忘録

安倍首相訪印に向けて:日印関係における特別戦略的グローバルパートナーシップ

ちょっと前に「12月安倍首相訪印決定」なニュースが流れたので、あー日印シャトル外交も、もうそんな時期なんやねと思う今日この頃。ということで、改めて日印の二国間関係についてちょっとまとめておこうと思った次第。

    

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学部の勉強でこーいう二国間関係の勉強をガチでやっておけば良かったと痛恨。

二国間なら、ケネスウォルツを使えばいいのかな(知っている言葉を連呼してみる。)

 

【安部首相訪印ニュース】

timesofindia.indiatimes.com

 

どうやら、12月16日なんですかね。 

独自 安倍総理 12月16日からインド訪問へ モディ首相と会談:ワールドビジネスサテライト(WBS):テレビ東京

 

では、二国関係について見ていきましょうか。やや日本主体目線ですね。

 

1.「特別」戦略的グローバル・パートナーシップ

いきなりパワーワード感満載な単語が出てきましたが、日印2国間を表す言葉としては適切なのではないでしょうか。戦略的グローバルパートナーシップでしかも「特別」ってすげぇなと思う訳です。EUとの日EU戦略的グローバルパートナーシップよりも上位互換的な雰囲気が漂ってきますね。

 

1-1特別戦略的グローバルパートナーシップとは?

では、そもそもこの特別戦略的グローバルパートナーシップとはなんぞや?っていうところかは入っていきましょうか。直近のモディ首相の日本訪問時での宣言から引用すると以下の感じですね。特に「日印関係は世界で最も可能性を秘めた二国間関係」って表現が最上級過ぎてビビりますw

 

日印特別戦略的グローバル・パートナーシップは,歴史に深く根差し,共通の価値観に基づくものであり,両国の国民にとってのより良い未来の実現に向けて,共通の戦略的目標を前進させ,平和,繁栄及び進歩を達成するための主要な源泉である。(中略)日印の間で学術的,精神的,学究的交流の長い歴史を通して共有されてきた,自由,人道主義,民主主義,寛容性,非暴力という普遍的な価値は,日印二国間関係の基礎をなすのみならず,インド太平洋地域及び世界全体の利益のために協働する原則を強調するものである。

引用元:日印ビジョンステートメント

https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000415828.pdf

 

年に一度の相互訪問は日印関係飛躍の原動力,強いインドは日本のためになり,強い日本はインドのためになる,日印関係は世界で最も可能性を秘めた二国間関係

引用元:日印首脳会談

 https://www.mofa.go.jp/mofaj/s_sa/sw/in/page1_000692.html

 

河野外務大臣(当時)のインタビューも理解促進に繋がりますので、おいておきますね。インドは日本にとって円借最大ですし、第三位の対印投資国ですしね。

 

【インタビュアー】7日の日印外相間戦略対話及び貴大臣によるモディ首相表敬に関する日本国外務省の報道発表では,インドが「自由で開かれたインド太平洋を実現するための最重要パートナー国」と表現されている。その根拠を伺いたい。

 

【河野外務大臣】インドは我が国ODAの最大の受益国であり,我が国は第3位の対印投資国である。1,500社以上の日系企業が当地で活発に営業している。自由で開かれた海上交通路を確保することは,アジアのみならず,アフリカ~中東から太平洋を越え米国西海岸に至る巨大な経済圏の経済的繁栄を享受するのに不可欠。両国は,このような共通の価値観を携える仲間であり,インドはこの構想の実現において最も重要なパートナーである。両国は,経済的繁栄のために連結性の確保にしっかり取り組む必要があり,沿岸部の法執行能力向上においても協力していかなければいけない。日印関係はさらに強化されるべきであり,自由で開かれたインド太平洋を実現するための最重要パートナーと表現されることは,自然だと感じる。

 引用元:WION(インド)による河野外務大臣インタビュー
(2019年1月10放映)

https://www.mofa.go.jp/mofaj/p_pd/ip/page4_004646.html

 

1-2「特別」な戦略的グローバルパートナーシップができるまで

続いて、歴史的な変遷をみていきましょうか。始まりは森総理時代(2000年)の「日印グローバルパートナーシップ」設立で握り、小泉政権下で具体的な形にして言った印象を受けます。以下リンクと各首脳会談における宣言と冒頭の目的文言の引用をどうぞ。ってことは、2020年で戦略的グローバルパートナーシップが始まって節目の20年ということになるのでしょうか。となると、次の安倍首相訪印はその下準備と新たな宣言発表ということになる?というのは考えすぎですかねw

 

www.mofa.go.jp

日本とインドは、持続的発展を基礎に平和、安定及び繁栄の均霑を内容とするグローバル・ビジョンを共有する。民主主義的価値観並びに人権、多元主義、開かれた社会及び法の支配へのコミットメントを共有していることが両国間のグローバル・パートナーシップの留め金である。このグローバル・パートナーシップは、両国の長期的な政治的、経済的及び戦略的利益、希求、目的、関心が幅広く合致していることを反映するものである。日本とインドは、そのグローバル・パートナーシップに則り、世界規模及び地域的な挑戦に対応する責任と能力を有するパートナーとして互いを認める。したがって、力強く、繁栄し、躍動性のあるインドは日本にとっての利益であり、また、その逆もその通りである。以上の文脈において、また、現下の国際情勢に鑑み、両首脳は、日本とインドのグローバル・パートナーシップの戦略的焦点を強化することを決定した。

 

【参考:小泉首相日印共同宣言】

 https://www.kantei.go.jp/jp//koizumispeech/2001/1210india.html

 

そんで、第一次安倍政権下で進化したみたいです。

 

www.mofa.go.jp

 安倍総理とシン首相は、両国がアジアで最も発展した民主主義国及びアジア最大の民主主義国として、アジアと世界の平和と安定に積極的な役割を果たさなければならないこと、地域的・世界的な挑戦に対応する責任と能力を有することを認識し、日印関係を更なる高みへと引き上げるため、「戦略的グローバル・パートナーシップ」の構築を決意した。

 

青文字で書いてみましたが、日印関係について、日本政府からしたら、めちゃくちゃ特別扱いですげーわ、、、の一言ですね。戦略的グローバルパートナーシップに格上げ後、毎年交互に両国首相が訪問し合う関係って中々ないんじゃあないですかね。

 

1.政治、防衛、安全保障における協力
(1)首脳の訪問を毎年相互に実施し、国際会議の際に首脳会談を実施することを確認。

引用元:https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/india/visit/0612_gps_ks.html

 

いつ「特別」になったかというと、2014年ですね。第二次安倍政権下ですね。

 

www.mofa.go.jp

両国民の発展及び繁栄の継続のため,並びに,アジア及び世界の平和,安定及び繁栄の促進のために,日インド戦略的グローバル・パートナーシップの可能性を最大限に発揮することを誓った。両首脳は,両国の関係を特別な戦略的グローバル・パートナーシップに引き上げつつ,今般の会談を日インド関係の新時代の幕開けと称した。

 

会談を経る度に、どんどん内容がアップデートされていっている印象です。以下は特別戦略的グローバルパートナーシップを締結した後の安倍首相のインド訪問時における共同宣言骨子です。

 

 

www.mofa.go.jp

両首脳は,二国間の関与の方向性に満足の意を表明し,成長のための最大の可能性を持つ重要な関係である日印特別戦略的グローバル・パートナーシップを,両国の長きに亘る政治的,経済的,戦略的目標の広範な収束を反映した深淵かつ広範な行動指向のパートナーシップに,移行させることを決意した。

 

この日印ヴィジョンを見てみると、ざっくりとこんな感じですかね。

  • 安全保障:もっと親密にしようぜ、情報も相互共有しましょう、インド洋シーレーンの安全保障を保全しようぜ(暗に中国を意識か)
  • インフラ:灌漑設備、鉄道、工業団地、輸送網わっしょい、もっとODAいこう!
  • 文化:お互いビジネスしやすいようにビザ緩和、都市間交流も盛んにしていきましょう!
  • 投資:双方向での投資も促進しましょう!「日本・インドIoT投資イニシアティブ」はインドから対日投資もよろ!

この内容でさえも2015年当時なので、どんどんガチ度合が増していっているように思えます。

 

後、2019年でも直近の4カ月で3回日印首脳会談をしているんですよねぇ。

6月:大阪、9月:ウラジオストク、11月:バンコクとかなりハイペース。

他の首脳と比べると明らかに回数多いし、日本がインドを特別な国として見なしている証左と考えられます。

 

森政権から足掛け20年でここまで親密な二国間関係が形成されてきたのは凄いですわ。少し文字数が多すぎてしまうので、この関係性から生まれて来た成果については次の記事で紹介します!