バンガロールでスタートアップのインド法人を立ち上げ中な文科系男子のインド日記()

大手損保→人材ベンチャー→実家のあれこれ→日系現地法人→バンガロールで日系スタートアップ法人立ち上げとふらふらしている文科系男子のインド備忘録

モディ首相演説速報まとめ:74回目のインド独立記念日

インドに住んでいる僕にとっては、ほぼ毎年恒例となりましたが、インドが大英帝国から独立して74回目の独立記念日となりました。毎年、デリーのレッドフォート(世界遺産、ムガル帝国遺構)で首相が国民に対して独立記念日演説として国策やビジョンについてメッセージを発するのが通例となっています。

 

モディ首相の演説を聞くのは今年で4回目となりました。過去3回と比べて、国難(COVID19と中国との国境紛争)に直面しており、かつ来年は独立75周年という節目の年なので、かなり気合が入った演説という印象を受けました。次の2年の計画と打っていたので、最低でもあと2年はモディ首相続投するのかなぁと思案しました。キーワードは「Self-reliant India’s growth」ですかね。

 

ということで、速報まとめとして、モディ首相による独立記念日演説の要旨を日本語でまとめてみました。序章から各重点項目についてまとめています。

 

モディ首相のチャンネルで演説全動画があるのですが、全部ヒンディー語なので、英訳版が出たらまた更新します。来賓も儀仗兵も皆ソーシャルディスタンスとってましたね。

 

youtu.be

 引用元:India celebrates 74th Independence Day

 

 

1.序文

謝辞:COVID19との戦いに従事している人々へ(医療関係者、政府関係者等)

国民に向けて:多くの困難がインドを直面しており、愛する家族を失った人も多いでしょう。でもこの困難に対してインド一丸となって戦っていきましょう。

この演説では直近2年のビジョンを提示します。

来年は独立75年という節目の年です。我らの父祖が独立のために戦ってきた歴史を忘れてはいけません。イギリスは永久的にインドを支配できると思っていましたが、我々のダイバーシティ(多様性)を過小評価していたので負けたのです。我々が多様性の団結によって勝ち得た「Self-Reliant/自立」は世界社会において良き教訓となったのです。

このSelf Relianceこそが我々インドのマントラ(重要なエッセンス)となっているので、大事にしていきましょう。

インドという国は一度意思決定したら止まりません。共にCOVID19を克服するために歩みを止めずに進んでいきましょう。

 

2.基本方針:自立したインドの成長

atma-nirbhar India(自立したインドの成長)こそが次の我々のゴールです。COVID19から早く抜け出して成長への軌道を確保していきましょう。多くの困難がありますが、我々の政府は銀行分野(高額紙幣廃止)から宇宙分野の発展まで多岐なイノベーションを実現してきました。インドへのFDI(海外直接投資)も前年は18%増えています。世界に対して我々の自立的成長を証明しましょう。輸入の減少だけが自立したインドの成長ではなく、ローカルのための声(Vocal for Local)が不可欠なのです。

 

3.重点政策:インフラへの投資

インフラの整備は国を強くしていきます。皆さんの目の前でインドは日々変化しています。7000のプロジェクトで国のインフラを強固なものにしていきます。空港、鉄道、バスといった様々な交通手段を相互連関させる「Multi Model Connectivity」を実現します。これらのインフラ政策には110兆円の予算を投入する予定です。

 

加えて、中間層・貧困層にとって衣食住の家と水は生活にとって必要不可欠です。新たに、「JAL JEENAN」施策で毎日10万人に水が確実に届くように尽力します。家も中間層にとって重要なので、次の1年で2000棟の家が建つようにします。

 

4.重点政策:農家/農村部向け支援

農家のお蔭でインドは持ちこたえることができています。(食料供給的な面で)

今までは小麦を輸入していた時期もありましたが、インドの農家を新しいステージ、国際市場へと連れていきます。今や規制緩和で農家はどこにでもその農作物を売ることができます。より魅力的な市場へ農家を連れていきましょう。

 

インターネット回線についても農村部への接続には課題が残っています。1000日以内にインターネット回線がつながるように対応します。

 

5.重点政策:教育/女性のエンパワーメント

教育については、インド国民が世界市民になることができるように高度な教育を供給していきます。イノベーションとR&Dの担い手となるような状態を目指します。

 

女性のエンパワーメントも引き続き強化します。士官や官僚での女性の躍進を始め、産業の様々な側面での活躍を後押ししていきます。加えて女性の若年結婚の問題にもメスを入れる予定です。

 

6.重点政策:ヘルスケア部門

COVID19向けのワクチンは3種類が開発中です。全インド国民向けに普及できるようにします。加えて、今回の一件を踏まえて、「National Digital health mission」として、国民全員がHealth IDを持てるようにしていきます。

 

7.重点政策:J&K

去年の改革以降、新しい開発が進みつつあります。発展が隅々まで届くようになっていくでしょう。選挙も実施される見込みなので、発展を加速させていきましょう。

 

8.重点政策:国境問題

我々は今までインドを脅かしてくる試みを全て阻止してきました。テロリズムであれ、膨張主義であれ、我々は屈することはありません。インドの主権尊重は至上命題です。

 

世界は常に我々と共にあります。ラダックの件でも国連安全保障理事会で192票のうち、184票の賛同を得ることができたことがその証です。

 

我々にとっての隣人とは、単なる国境を接している状態なのではなく、信条を共有・理解している人なのです。我々は善意を以て接したいです。

 

9.重点政策:防衛政策

防衛面でも、ミサイルやヘリコプターといった防衛品目を「Make in India」にしていきます。NCC(National Cadet Corps)も国境部・沿岸部方面に展開を広げていく予定です。

 

10.モディ首相の演説を聞いてみての所感

・国難(COVID19)に対しての国威掲揚目的がかなり強め。気持ち過去3回の演説に比べてテンションがかなり高く、かつ話も長い印象を受けた。

・国境問題のトピックで明らかに中国を意識した発言が強い。

・他の、インフラ・農村・女性系の政策は過去の政策の拡大版を想定。

・「自立したインドの成長」、「Vocal for Local」というスローガンが新たに掲げられ、恐らく農村部、郊外地域の開発が更に加速されていくと想定できる。

・インドで作った製品をどんどんインドの国外へ輸出していこうぜ的なテンションが強くなりそう。

 

という感じの速報でした。4年分のインド独立記念日の記事が溜まったので、そろそろかっこつけて過去の演説内容と政策ってどんな符号があるのか、どんな政策効果があったのかを、時間見つけて検証してみようと思います。

 

11.過去のインド独立記念日演説のアーカイブ

過去記事ですが、過去3回分のまとめ記事です。

 

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