バンガロールでスタートアップのインド法人を立ち上げ中な文科系男子のインド日記()

大手損保→人材ベンチャー→実家のあれこれ→日系現地法人→バンガロールで日系スタートアップ法人立ち上げとふらふらしている文科系男子のインド備忘録

インド・ユニコーンスタートアップ紹介:OYO(インド国内ビジネス後編)

前編に続いて、OYOのインド国内ビジネスについてまとめます。前編はひたすらOYOの概略とその規模についてまとめてきました。後編は実際にインドでOYOのサービスに接してみての感想とインド国内でのOYO報道についてまとめてみます。更に実際にインドでOYOをかなり使い込んでいた友人の口コミも出しちゃいます。

 

【前編記事リンク】

osadaken-india.hatenablog.com

 

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3.OYOがインドで大躍進した理由(考察)

3-1たくさんのラウンドで潤沢な資金を調達

ビジョンファンドを筆頭に名だたるVCからの調達に成功しており、一気にブーストできたのではないかと。今のラウンドと調達金額を見てみましょうか。Crunchbase先生曰く、今シリーズFで15ラウンドやって、合計32億ドル(約3500億円)を調達したみたいですね。創業8年くらいですげぇっすわ。

 

【主要な投資家】

ソフトバンク、Airbnb、Didi、ソフトバンクビジョンファンド、Grab、Greenoaks、セコイア、Lightspeed、My Prefferd Transformation、ファウンダー(Mr. Ritesh)

 

【情報ソース】Crunchbase

https://www.crunchbase.com/organization/oyo-rooms/funding_rounds/funding_rounds_list#section-funding-rounds

 

3-2小規模ホテルを面でOYOのブランドへ組み込み

「戦いは数だよ、兄貴」(機動戦士ガンダム、ドズル=ザビ中将)という言葉にもあるように、各地域・各都市をOYOのブランドで埋めていったということですね。あとは目を引く「OYO」の看板も効果的だったようですね。

 

3-3圧倒的安さでユーザー数を増加

とにかく安い。他のサイト(FabhotelやTreebo)とかと比べても安い。低価格帯を抑えていましたね。あとはハイエンド層向けにも抑えており、レンジの広い顧客を捉えることができていたということでしょう。 

実際に見てみましょうか。

 

比較用1:OYOのページ

東部地域(IndiranagarやKalayanagr)の値段でこれくらいですね。

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引用元:OYO予約ページ 

 

比較用2:Fabhotelのページ

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 引用元:FabHotel予約ページ

 

4. 実際にインドでOYOのサービスを使ってみての感想(主観)

4-1OYOの個人利用

前デリーに出張した際に意図せずOYOのホテルを利用しましたが、けっこーきつかったです。

 

【注意】ただ、別の友人が泊まったOYOのホテルは大丈夫でサービスも良かったようで、ホテルによってはOYOの基準を守っていたりいなかったりのケースがあるようで選びようなのかと思った次第です。以下はあくまでも私個人の経験と主観です。

  

【概要】 

1.全くシステムをみていない受付(横柄で雑)、システムとは違う料金を請求してくる
2.水なし(流れてこない)
3.シャワーなし(流れてこない)
4.トイレの水も流れない
5.呼んでも対応せず、ルームサービス呼んでくれという謎のボーイ(何のために存在しているのか意味不明)
6.メンテナンスができていないベッドやファシリティ、てかめちゃくちゃ汚い
7.予約サイトの写真がほぼフェイク、盛りすぎワロタ
8.蚊だらけで眠ることができない

 

と大三元でこれぞ新興国あるあるを体験してFab hotelに移りました。上記を話したら災難だったサーと言われましたよと。

 

私としては、この1度だけの経験で絶対にOYOは利用しないという気持ちになりました。爆

 

4-2企業としての利用

応援要員の滞在先として見積もりまでもらってあと少しで契約というところまでいきましたが、「外国人(非インド人)は宿泊ダメ」と言われて、「えええええええ、、日本にも展開しているのに?なぜ?」という感想を抱いたのが懐かしいです。

 

どうやら、友人に聞くところによると、インドのホテルは外国人を泊める際にはフォームCを都度発行しなければならず、そのライセンスも必要とのことで、利用しようとしたホテルがそのライセンスを保有していなかったと。。ルールはわかるけど、グローバルにビジネスを展開しているのなら、非インド人が止まる際にインドのホテルに泊まることができるように基準化しておいてくれよと。。。。インド国内をかなり移動していた友人曰く、外国人が泊まることのできるOYOは限られるのではないかという話も出ていました。

 

5. インド国内のおけるOYO報道

さて、躍進の背景と主観的な利用感想を述べてみたところで、実際インドやインド国外のメディアはOYOに対してどんな扱いをしているのか見てみましょうか。Weworkの件があっただけに、賛否両論な分かれ方をしているのではないかと思案。

5-1ポジティブな報道

 OYOはインド発世界最大規模のホテルチェーンとして注目されている傾向にあり、インドのユニコーンクラブにも名を連ねています。

 

OYOのホテルは毎秒5部屋予約されているって記事ですね。

www.livemint.com

 引用元:https://www.livemint.com/companies/news/5-oyo-properties-booked-in-every-second-this-year-guess-which-state-saw-highest-bookings-11577532238830.html

 

OYOがラジャスタン州で大攻勢に出て、ネットワークを拡大していきますっていう記事。

yourstory.com

 引用元:https://yourstory.com/2019/12/oyo-hotels-rajasthan-expansion

 

Inc42でもカバーされてますな。2018年に比べてホテル予約数が2.7倍になったぜ&UP州で特に予約が多いっていう内容です。

inc42.com

 引用元:https://inc42.com/buzz/oyo-registers-2-7x-bookings-in-2019-amid-rising-dissent/

 

BYJU'Sに次いでOYOがHBSのケーススタディになったぜ!という記事。インドスタートアップネタではこの2社しかなっていないかと思案。

yourstory.com

引用元:https://yourstory.com/2020/01/oyo-harvard-case-study-ritesh-agarwal

 

 

5-2ネガティブな報道

2019年の11月くらいからちらほら出始めていた記憶がありますさかい。

まず目に留まったのが YOURSTORYのこの記事っすかね。

yourstory.com

引用元:YOURSTORY 

https://yourstory.com/2019/11/cheating-case-bengaluru-hotel-oyo-founder-ritesh-agarwal

この記事では、 バンガロールのOYOホテルオーナーがOYOに対して五カ月の手数料未払いについて高裁へ訴状を提出したとありますね。OYOも対抗措置をとるとありました。下のNYTでは仲裁中と報じられていました。

 

そんでもって、NYTがOYOに関しての証言記事をブッこんできていますね。

www.nytimes.com

引用元:NYT

https://www.nytimes.com/2020/01/02/technology/oyo-softbank-india.html?ref=oembed

匿名&実名にて現職&退職した社員からのヒアリングを元に書いておりますわね。

 

サマリーとしては、

  • OYOはサービス提供が不可なホテルを登録してホテル数を水増ししている。
  • そのホテルはかなりあるようで、ライセンス無しや無許可ホテルが数千含まれているらしい。幹部も認識していると。
  • OYOは政府当局からの取り締まりを逃れるために警察関係者へ無料宿泊を認めている。
  •  OYOはホテル側へ追加料金を請求し、OYOがホテル側へ支払うべき対価を支払っていない。
  • 元OYOの社員から「プレッシャーがすごい」、「投資家への印象をよくするためにライセンスの無いホテルも追加していた。」と証言あり。
  • OYOに長期滞在していた客がレイプ被害にあったがOYOに説得されてレイプ被害の申告を取り下げた。

そして直近のレイオフ記事ですよっと。この記事ブルームバーグでも日本語記事書かれていたので、そーとーな印象を受けますね。

www.businesstoday.in

 引用元:Business today

https://www.businesstoday.in/current/corporate/oyo-lays-off-around-1800-employees-across-india-and-china-report/story/393596.html

 

日本語訳もブルームバーグ経由で出ています。

www.bloomberg.co.jp

 引用元:Bloomberg

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-01-10/Q3W3FD6JIJUR01

 

これで収束かと思いましたが、NYTやいろんな記事がOYOの続報を出してきました。更新しますよ。

 

www.nytimes.com

 引用元:https://www.nytimes.com/2020/01/13/technology/oyo-hotel-india-softbank.html?smid=tw-nytimesbusiness&smtyp=cur

 さて、この記事ではOYOについて、もっとえぐい内容が記載されていますね。

  • 10月以来、OYOは65000部屋以上のホテルルームを失った。
  • 今月、200のインド小都市でのサービス提供を辞めた。
  • 先週から2000人規模でのレイオフ(解雇)を進めている。
  • OYOはソフトバンクビジョンファンドの宝石とまで呼ばれたが、2021年まで損失を計上すると言われており、ソフトバンクは2020年半ばまで利益を出せというスタンスに変わった。
  • 国税当局の立ち入り検査がOYO本社で発生。

 

次いで、ファウンダーからのメッセージとしてYOURSTORY等が記事書いてますね。

このリンクが全文書かれていますわね。

 

www.businessinsider.in

 引用元:https://www.businessinsider.in/business/startups/news/read-ritesh-agarwal-email-to-oyo-employees-as-news-about-layoffs-losses-and-troubles-at-the-company-rise/articleshow/73228503.cms?utm_source=social_Twitter&utm_medium=social_sharing&utm_campaign=Click_through_social_share

 

気になる文言をピックアップしましょうかね。

Given our bold dreams and humble beginnings, OYO has always been written about. Recently, there have been a few questionable claims in a publication, and today, I want you to hear about them from me. The said article described a behaviour that would violate our code of conduct.

We take all the allegations very seriously and are looking into each and every one. We, of course, continue to be subject to regular external audits and have reached a stage as a company where we are making significant investments in compliance, training, and governance that ensure operational consistency and accountability. We are - and will always be - committed to growing OYO the right way.

引用元:https://yourstory.com/2020/01/oyo-ritesh-agarwal-letter-employees-firing-it-raid-2020-plans

この文言は規約違反に関する疑義がいろんなメディアに報じられているとあり、この事態を重くうけとめて、真摯にOYOの監査等をやるってことらしいです。

 

6.インドでOYOを頻繁に利用していた友人のレビュー

ご本人から転載許可を頂きましたので、インドでOYOにめちゃくちゃ泊まっていた友人からのレビューを転載します。この数年での変化が克明に描かれていますね、ええ。

画像に含まれている可能性があるもの:テキスト

画像に含まれている可能性があるもの:1人

画像に含まれている可能性があるもの:テキスト

 引用元:https://twitter.com/JH19890813

 

7.参考記事、文献

大正義HBS/Harvard Business Schoolにケーススタディがあったので、購入しましたよんと。発行が2018年だったのは、しゃーないですが、めちゃくちゃまとまってて面白いです。

 Narayandas, Das, Sunil Gupta, Rachna Tahilyani, and Mahima Rao-Kachroo. "OYO: Creating Effective Spaces." Harvard Business School Case 519-023, September 2018. 

 

あとは、べたべたですが、YOURSTORYとInc42の記事が参考になりますね。

yourstory.com

 

inc42.com

 

ということで、インドのユニコーンスタートアップOYOのインドビジネス紹介はここにて筆を置きます。続いて日本編を鋭意まとめていますので、またまとまり次第ご案内します。日本語の情報が多すぎてどれくらい時間が掛かるのか不安ですわ(小並